白い階段
神様が≪上っておいで≫と言いました。
すると目の前に白い階段があらわれて天に向かってどこまでも続いていました。
天からずーっと地上にむかって続く階段です。
それを上り始めたとき、子供の天使が私のそばを飛んでいました。
一段、一段上っていく途中、私のそばを天使たちが忙しそうに上ったり、下りたりしていました。
神様から預かった祈りの答えのつまったプレゼントを持っています。大事そうに抱えながら、
天から階段を下りてくる天使たち。
また、人々の祈りを大事そうにかかえて天に上っていく天使たち。大勢の天使たちでした。
途中で特別大きなプレゼントの箱を持って下りる天使たちとすれ違いました。
「何だろう?何が入っているのかしら?」
それから、しょんぼりして涙を流しながら届けるはずだったプレゼントを持ち帰る天使がいました。
「どうしたの?」声をかけると、天使は答えました。
『つぶやきが多くて、祈りも途中でとぎれとぎれになって、とうとう答えられる前にやめてしまうから
手渡せなかったんだ』
そう言いました。
私が天使と一緒に地上を覗くと、その人が間近に見えました。
こう言っていました。
「どうして私の祈りは答えられないの!?あの人の祈りは聞かれるのに、神様は不公平だ。
もういやだ。神様に頼らないで自分でやろう。もういいわ。どうせ、私の祈りは聞かれていないんだから」
その時、神様の声が聞こえました。
≪愚か者よ。いつでも文句を言い、つぶやく者よ。
自分の時にすべてが成らないと、このように主人に向かって文句をつけるわがままなしもべよ。
あなたがもう少し忍耐して祈るならあなたの祈りは答えられたろうに。
あなたが辛くても忍耐してつぶやかなかったなら、わたしは喜び、あなたの求める以上のものを与える用意ができていたのだ。
見よ、あなたに届けるはずだったプレゼントを再びかかえて天使が階段をのぼってくる。
目に涙を浮かべて『手渡ししたかった、あなたの喜ぶ顔が見たかった。あなたが神を褒め称える声が聞きたかった。』
そう言って階段を上ってくる。このような者たちが多い。祈りつづけよ。
そして 答えを受けるまで忍耐して待ち望むのだ。あなたは本当にその祈ったものが欲しいのか。
また、それを受けるにふさわしいのか――。
わたしはあなたをテストする。
「アメをちょうだい」あなたが親に求めれば簡単に親は、それをあなたに与えるだろう。
どうせ親はアメをくれないと思えば、あなたは親を信頼できなくなる。
わたしに欲しいものを求めるなら、わたしを信頼するものだ。
どうせ、くれないだろう――そういうふてぶてしい心で、二心でわたしに求めるならば……
それをわたしは知らないだろうか?
わたしにはあなたの心が見えていないのだろうか?
あなたがわたしの届けさせたプレゼントを受け取ることなくつぶやき、
苛立ち、天使が泣きながら階段を上ってくる事を、わたしは何と見ているだろうか?
私は天に向かう階段の途中でプレゼントをかかえた天使と立ち尽くしていました。
すると雨が天から降ってきました。
≪わたしの涙だ。わたしの涙にぬれよ。≫
主の声が聞こえました。主がどんなに残念に思っているのか。
泣きながら階段を上る天使以上に涙しているのは主なんだと分かって、涙があふれて止まりませんでした。
つぶやかず、怠けず、期待して祈りの答えを受ける者になって欲しいのだ。
わたしを喜ばせる者になって欲しいのだと語ってくださいました。